ホットミルクとビターチョコ
新たな季節がやってくる。 春、新入生を迎え入れるその時期に、片想いの相手へと告白をした。 ちぐはぐな告白はかわされ、曖昧な返事を返されて有耶無耶にされる。 半ばキープされるような状態の日々を過ごした間、心は次第にぼろぼろになり、解放されたい気持ちに変わってしまった。 一途に想ってもそれは無駄と悟り、傷付きながらも絶交を切り出す。 一時は愛を届けた相手に自らその言葉を口に出すことはとても胸が締め付けられ、涙が何度も頬を伝い、立ち上がる事は出来ずに、それでも生きるために、前に進むために時間は僕を立たせる。 「また三年のまゆみ先輩に告白して降られた奴が居るらしいぜ」 「誰なんだろうな。そんな身の程知らずはさ」 教室で匿名の誰かの噂が流れる。 「な、工藤、工藤、あれ、話聞いてんのか?」 同じクラスの男子が話しかけてきたが、あまりそういう気分ではなかったために、肘を付けて窓の外を眺めていた。 「んだよ、可愛い新入生の話をしようと思ったのによ」 それに耳を傾けるだけの余裕は無く、ビターチョコを一粒齧る。 鼻腔を擽るカカオの香りと、苦さを味わいながら、間の抜けた返事を返していた。
ドミネーター
この世界は機械に支配されている。 生活や労働は殆ど全てを機械が担い、ヒューマンバグが殆ど起こらない様になっていた。 そんな中で人間に与えられていた仕事はサブカルチャーのみだった。 不要だと切り捨てられるような事が自分達が食いつなぐためのものとなり、業界はさらなる躍進を果たす。 一方の機械は進歩を重ねており、人工知能を持つアンドロイド達がやがて政界にも進出していく事となった。 政界においての第一の政策は合理性を重視したものだった。 アンドロイド達にはプログラムされた思考はあれど、進歩された思考はあれど、心に至らない。 アンドロイドの総理大臣は合理的思考のもとで人間の個体厳選を行うと大々的に公表したのだった。
ある日地球にダンジョンが発生した
魔法なんてものは存在しない現代にある日突然ダンジョンが出来た。 神は夢にて全ての人類に願いを叶えるチャンスとしてダンジョンを提供した。 国は未知のダンジョンに調査隊を派遣したが、未だに帰って来た者はいない。 ダンジョンと言うからには中には罠やモンスター的な何かがいるという噂がネット上に流れていた。 人生を諦めた者や一攫千金を狙う者は後を絶たない。 国もダンジョンが国内にあるのは穏やかでは無いらしく、もしも邪な願いを叶えられたら――― そんな思いから現在。 私は一番最初の調査隊にして、只今モンスターと戦闘しています。 「ウゲッ!?タウロスが来るぞ!銃を構えろ!」 一番最初の調査隊...それに私は志願した―― 出口はなぜか入ると同時に消えてしまったので、進むしかない。 今分かっているのは、私の友達がダンジョンの発生場所にいたらしく、発生と同時に取り込まれたらしい。 今もたまにモンスターの名前と画像が添付されたメールが届くからきっとまだ生きてはいると思うけど.... ピロン.... ーーーーーーーー 原作はこちら https://estar.jp/novels/23592758
Elder Last Emblem
様々な時代を巡るラストの秘宝。 その秘宝に選ばれし者達は時代を良くも悪くも変え、導く存在として尊ばれていた。 そんなラスト達の冒険を一纏めにした書籍のシリーズをラストの一人が残した。 『エルダー・ラスト・エンブレム』 その内の1つ『ラスト・リゾート』に選ばれた【勇者パーティーの盗賊】の物語。 原作はこちら https://estar.jp/novels/24936500