最終兵器サキュバス
マクミラン暦1521年。 工業革命によって急速な工業化を成し遂げた列強と呼ばれる大国が、欧州大陸で群雄割拠する時代。 欧州大陸北東部に位置するデボル=シャキア帝国は歴史ある専制君主国家だが、長年に渡る隣国クリミア共和国との戦争によって国力は伸び悩み、工業立国でありながら中堅国に甘んじていた。 デボル=シャキア帝国陸軍の若き青年士官、ウォルター・ギルフォード中尉は、副官で幼馴染の女性士官であるエミリア・ホームランド少尉共に、対クリミア共和国との戦争で多大な戦果を上げ国からは英雄と祭り上げられていた。 ウォルターとウォルター率いる第四〇一独立遊撃中隊は、クリミアとの最終決戦を目論んだ参謀本部の命により大激戦区「死の荒野」に配属される。 だが上層部の目論みも虚しく、帝国軍は戦力集結前に総攻撃を受け崩壊寸前にまで陥ってしまう。 百戦錬磨の英雄と言えども勝利は難しく、己の命さえ危うい中で、迫りくる敵軍を前に死を覚悟したウォルターが見たものは、若く美しい細身の少女が、敵の尽くを一方的に粉砕する圧倒的な暴力の嵐であった。