ざいます。兄さん、お弁当まで作ってくれたんですね」 「まあな。自分だけなら滅多にしないけど、紗良のとめならな」 「嬉しいです……」 紗良が目を細めて優しく微笑む。 「おうおう、お二人さん、ラブラブだねぇ」 莉緒が冷やかしに来た。 「そんなんじゃないわ。兄妹が一緒に飯食うくらい普通だろ」 「だって、今までお弁当なんて持ってきたことないじゃん。いつも購買だったし
飯か?」 一ノ瀬咲良、1年の書道部員だ。 ぶりっこっぽい態度から一定層の男子からも人気が高い。 そして、書の腕も俺に及ばずも遠からずという所だ。 「そうですよ。ご飯ついでに作品の整理でもしようと思いまして」 咲良は無意識なのか俺のすぐ傍まで近づいてくる。 甘い女の子らしい匂いを感じながらも俺は適当な椅子に腰を下ろした。 「紗良も座りなよ。飯食おう」 俺の正面に紗良、左斜め前に莉緒、そして何故か隣りには咲良が座っていた。 「「「「いただきます」」」」 それぞれ弁当箱を開けた