生き物が周囲に見当たらない過酷な環境の中であっても、刻一刻と変化する時
スチィスの無事を祈ってはいたが、内
逃げたが、結局なすすべもなく追いつかれてしまった。もう二度と生
の一撃で全身を打ちつけられ
が目を開いた時、最初に視界に映っ
う実感。トンガーソンはどういうわけか生き延
ン。ただ、自分は死なずに済んだのだという事実を理解し終
当たらず、手がかりも
流砂に呑まれた。助かっているとは考え難いが、大蛇に追い詰め
た。遺跡の調査を放棄し、近くの仲間たちが屯してい
自分と同じ考古学を志す探検
、トンガーソンは自分と同様にユスチィスが助かっているのではという一抹
ガーソンは誰にも話していない。ただ、大蛇から逃げて
たことによる記憶違いだったかもしれない――
らず、大蛇と遭遇したのも砂丘の道中で、遺跡に逃
ならば、誰一人として共に来るものはいなかっ
していたが、ユスチィスの消息を辿ろうとする強い
十二名からなる捜索隊を引き連れ
人たちが探してきた。それが我々の代になって
トンガーソンの話を聞いた当初はにわかには信じられないと訝しんでいたが、いざ実物
ている、移動砂丘だ。遺跡が実在するならもっ
、デイモルが砂の中から露出してい
いる遺跡の全体をゴーグル越しにざっ
ま足を数歩前に踏み出すと、その場でし
おそらく、ジュノーから運ばれ
を差し出す。デイモルはそれを取り上げ
している金属製の柱に、動物の毛で作った軍手を身につけた手で触れ
サード砂漠で見た
った。建造された年代も
物の断面の凸凹に引っ掛けるようにしてそっと
明の遺跡は、発見されている位置はまばらだが、何れも砂上に建てら
ンが、終始むっとした表情で両者を睨んで
それを聞きつけたキサリナが、心配
ですか、トン
というアルマガナ女博士の助手を務めている若い旧鼠であり、彼
然とした態度のまま
来てくれた。ところが、だ。今ではこの遺跡のことしか目に入らないときている
りも見つかるんじゃないかしら。遺跡の調査はこのままあの
、そうするしか
マガナに拾われ、女手一つで育てられた。キサリナとアマルガナの関係は、実の母
を失い、トンガーソンの実質的な養子と言っても差し支えの無い立場
まらなかったが、ユスチィスのことで気が気でなく
ィスがここに来て大蛇の餌食になったというのではやり切れないし、信じたくない――キサリナは、トンガーソンがユス
のはこの近辺だったのよ
……
ま言うキサナリを前にして、
すぐに落ち着きを取
らな。砂の中から大蛇が現れて……わたしも、ユスチィスも逃げ
のトンガーソンを訝しんだが、説明するのに気
くれないか、トンガーソ
ンとキサリナ。周囲に朽ちた柱と壁の残骸が
同じくらい若い旧鼠の青
ヴィンは二人が傍に来るのを見計らってから、自分の足元にあるゴーグルを拾い上げて見せ
スの身に着けていたやつじゃな
ヴィンの手にしているゴ
ユスチィスに譲った、一つ
ユスチィスにこそ受け取って欲しいと思い、それを選んだ。
の生業に従事していくうちに失望していったよりも
れはユスチィスの
そうだ。
ーソンは
スチィスの居場所を知る、手
を使っていたことは熟知してお
、余程慌てて逃げていたらしいな。…
ーソン。隣のキサリナが顔をしかめたが、ケルエヴ
心無いことを
察したケルエヴ
スチィスがここに来たことがはっきりした
ここで、二人は一緒に大蛇から逃げていた。そして、自分が囮になってユ
やデイモル、それにその二人に追従している者たちには敢えて声をかけなかった。広く
い…
発見した、もう一つのゴ
び割れて要を成さなくなったゴーグルを投げ捨てていた。トンガーソンはユス
こに来ていたんだな。それに、ユ
ていたことが浮き彫りになりつつあり、不安げな眼差
スと一緒に大蛇から逃げていた。大蛇はまるでユス
ソンは一瞬
で、流砂
サリナ。そこには何の変哲もない砂が広がっていたが、何か
なかった。本当は、ユスチィ
ないでくれ、ト
押し黙るトンガーソン。ケ
たも大蛇に襲われていたんだろう。
て気を失っていたんだ。どうして助
それは常日頃から大蛇を天敵として恐れて暮らし
蛇にやられたのかも、わか
たのはキサリ
ぐに気を失ってしまったのでしょ。ユスチィスのその
の状況で助かる
たも同じだよ。
意志が宿っていた。トンガー
ることも、どちらにしても非常に曖昧だ。思うに、大蛇
砂に呑み込まれたことははっきりと記憶していた。しかし、そうすると大蛇の行動
聞かせて、明瞭な記憶から目を背けるための理屈にしていた事柄と酷似している
ことをしよう。一緒にユスチィス
ケルエヴィンに、トンガーソン
そうだ…
ていた罪悪感に押しつぶされそうになっていたトンガーソンをすぐにた
……その記憶はあるん
くれ、ユスチィスを呑み込
、心得
ィン、キサリナの三人は、本格的に行
々もいたが、皆がユスチィスの件も念頭には入れていた。タンムルとデイモルに関しては、
隊にとってはより好ましい状態になっていた。これで