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N市、東林学園都市、S大学にて。
「ぎゃーーーーーーーーーーーっ」
突然、聞いたもの誰しも背筋が凍ってしまうような甲高い悲鳴が長く続くとやがて教室中に響きわたった。
悲鳴をあげたものは20代前半の学生、その髪は短く切りそろえ、清潔感があり、きちんとした服装で、見た目はアジアン。夏の日焼けのせいか、少し褐色な肌色をしていた。
「ワン・イー!正気か? いきなりこんな大声あげて」
教壇に立っている肌白な、顔が小ぢんまりしているきれいな女性がデジタルペンを持ちながらオーに怒りつけた。丸い眼鏡を通して、その吊り目は怒りでさらに鋭く吊り上がり、白いシャツと黒いハーフパンツと相まってさらに凛々しく見えた。
そのワン・イーと呼ばれる男子生徒はいつの間にか口を閉ざしたが、依然として目は大きく見開き、息遣いも荒い。その恐ろしい顔つきにあるのはぼんやりと、戸惑いと絶望だけだった。
その視界にあるのは血の赤さと、永遠に続くような暗闇。
ーーと言った具合で、オーにはもう赤と黒の二色しか見えなくなったようで、すこし経つと、赤と黒は突然切り離され、彼の意識もやっと体に連れ戻され、ぼんやりとして濁った目にもやっと光が見えるようになった。
「ワン・イー、一体なんの真似だ?」
きれいな教室、きれいな窓、きれいな日差し、きれいな机、きれいな紙とペン、きれいな人々、きれいな服、きれいな顔… すべてが幻のようにきれいだった。
「これは…これらはなんだ… どうしてこんな… ここはどこだ?」
どこからともなく吹いてくる風が草の匂いをワン・イーの鼻腔に運び込み、彼は笑っているような泣いているような不思議な表情で、何度も貪欲にそれを吸い込んだ。
世界の終わりが来る前であれば、このような学校の教室の光景はもちろん普通のことだ。 しかし、世界が終わりを迎えた20年後に、どうしてそのような光景が存在するのか。
ここは天国なのか? ·それとも、ただの美しい夢なのか。
「ワン・イー!」
鮮明な声が再び鳴り響いたが、ただこの時、例の美人教師はもう演壇には立っておらず、怒ったようにダダダとワン・イーの前を歩いていた。
「ワン・イー? あ!思い出した!俺はワン・イーだったんだ!でもここはなんだ?俺に何が起こった? 俺は死んだはずじゃなかったのか? 覚えてるぞ…あの化け物が、あの化け物が俺を引き裂いたのだ。 しかし、ここは一体どこなのか?」
ワン・イーの思考はまだ混乱しており、現実と記憶との大きな矛盾によって、しばらくの間彼は完全に目覚めることができなかった。
「授業を聞きたくないなら出て行け! 今すぐだ!」
ワン・イーが自分の叱責を無視しているのを見て、美人教師の顔は怒りでさらに真っ赤になり、細長くて白い指を立て、彼の額を突っつこうとした。
しかし、ワン・イーの目つきは突然鋭くなり、軽いサイドステップで、その指をかわすように動いた。
「あーっ」と美人教師が悲鳴を上げたとき、指をかわされたせいで、彼女は思わず体が前に傾いて机にぶつかりそうになった。
すると教室内は騒然となり、ワン・イーの隣に座っていたぽっちゃりした男の子に至っては、もともと薄目だった2つの小さな目をボールのように丸くしてしまったほど驚いていた。
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