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恩人の仮面が剥がれた日、俺は親愛(アイ)を知った

恩人の仮面が剥がれた日、俺は親愛(アイ)を知った

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あらすじ

目次

実の姉から虐待を受けている蓮夜は、放課後は漫画喫茶で22時まで時間を潰してから家に帰るのが日課になっていた。 ある日、蓮夜は姉から酷い虐待を受けて怪我をおい、その手当を漫画喫茶の店長にしてもらうこととなる。 手当の途中、店長に怪我の原因が家族かと問われた蓮夜は、何も答えなかった。彼がそうしたのは、姉が警察に捕まるのが嫌だったからだ。 蓮夜からすれば、姉はどんなに酷い虐待をされても嫌いになれない、大切な人であった。 その翌日、姉の手によって服を脱がされてクローゼットに閉じ込められた蓮夜は、苦渋の末、店長に助けを求めた。そうすると、店長は瞬く間に蓮夜を救い出してくれた。 ――しかし、彼がそうしてくれたのには、とんでもない理由があった。

チャプター 1 一章 恩人は俺を連れ出した。1

夜の十時ごろ。  

 ――神様がいるなら、俺を救って欲しい。

 家の前にいた俺はそんなことを想った。

「……ただいま」   

 そういって、俺は家のドアを開けた。

「疫病神のお帰りね」  

 玄関の前の廊下にいた姉ちゃんが、そんなことを言ってくる。

「……姉ちゃん」  

 姉ちゃんの名前は山吹飾音(やまぶきかざね)。  姉ちゃんは切れ長の瞳をしていて、身長が女なのに百七十まであって、百七十二の俺と二センチしか変わらない。  

 俺は|山吹蓮夜(やまぶきれんや)。高校一年生だ。  

 姉ちゃんは四年前から俺のことを〝疫病神〟と呼んでいる。  

 四年前、姉ちゃんは交通事故に遭いそうになった俺を庇って、大けがを負った。その時の後遺症で姉ちゃんは左腕を麻痺している。

 姉ちゃんはダンサーになるのが夢だった。それなのに俺を庇ったせいで姉ちゃんは踊れなくなって、ダンサーになるのを諦めるハメになった。  姉ちゃんは事故に遭わなけれは、音大のダンスコースに推薦入学するはずだった。それなのに、俺のせいで推薦を諦めるハメになって、夢も叶えられなくなった。    

 ――姉ちゃんの夢を壊した俺は疫病神以外のなにものでもない。

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