『初回プレイ死亡率4000%』 クリアーが絶対無理な超絶極悪難易度の理不尽ゲーム。ムリゲーの世界に飛ばされた吉弘 鑑理(よしひろ あきなお) 通称『ナオ』と流川斉子(ながれかわ なりこ)通称『リュウセイ』。 そこはムーンリカバリーという『魔王視点で見た場合のリアルさ』を追求した結果、スタート地点から最初の町に向かう7歩分の移動途中に『初期レベルでは絶対に勝てない敵とエンカウント(戦闘に入ること)する事による死亡率4000%』という凶悪な数値を叩き出したクリアーは無理なゲーム。ムリゲーの世界だったのである。 開発者はこのゲームを『ムンリバ』なる略称で自作を紹介したが、その『通算10万回は死ぬ』という理不尽すぎる死亡率によって『ム・リ』の略称を手に入れた。 どうがんばってもクリアーは無理なゲームの代名詞としてゲーム史の片隅にひっそりと咲いたあだ花。 これは、そんな世界にとばされたナオとリュウセイのチートすぎる抜け道バグ技の物語である。
(※)実験や機能の確認をしながら書いてますので、御見苦しい点が御座いましたら申し訳ありません。
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「ここってゲームの世界かな?」
そう告げるリュウセイの後ろには真っ二つに割れた月の姿があった。
ここはゲームの世界らしい。
異世界転生ってやつの一種だろう。
だが、夢のような世界に来たはずの俺の心は絶望に沈んでいた。
「……これ、始まりから終わってるじゃねぇか」
なぜなら、この世界は『初回プレイ死亡率4000%』と呼ばれる、クリアーが絶対無理な超絶極悪難易度の理不尽ゲーム。
ムリゲーの世界だったからである。
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俺の名は吉弘 鑑理(よしひろ あきなお)。通称『ナオ』。
大分県の府内高校に通う16歳。剣道部に所属している。
「ナオくん。ここは一体どこだと思う?」
と聞いてきたのは幼なじみの流川斉子。(ながれかわ なりこ)ほっぺたのアザがチャームポイントの新聞部の女子部員だ。
星形に箒のようなアザの形から俺はリュウセイと呼んでいる。
家が隣同士なのでいっしょに通学していると、急に空から光が灯り、気が付いたらこうしてゲームの世界に来てしまったらしい。
「月が真っ二つに割れているから、多分ムーンリカバリーの世界だろ…」
出来る事なら間違って欲しい。
だが巨大な月の周りに、さらに衛星があるパッケージデザインと同じ光景は見間違えようがない。
ベンチャー系のメーカーが出したRPGゲームで「リアルさ」を売りにした本格派RPGと銘打って発売された超絶理不尽ゲームの光景とそっくりだ。
「そうだよね!これ、あのゲーム世界と一緒だよね!ナオくん!あそこに羽の生えたウサギ型のモンスターがいるよ!」
と無駄にはしゃぐリュウセイ。
さて、このムーンリカバリー。「リアルさ」を売りにしているくせに絵柄はアニメ調で、かわいい系の世界だったりする。
では何がリアルかと言われれば『世界設定』だ。
例えば…なのだが異世界の神から勇者として召還される存在がいた場合、魔王は黙ってそれを待っているだろうか?
答えは否である。
部下の中でも精鋭を引き連れて、出現確率が高そうな場所を重点的に警戒するだろう。
不法侵入してくる不審者を何もせず放置するような統治者がいればとっくに滅んでいるだろう。
そんな『魔王視点で見た場合のリアルさ』を追求した結果、スタート地点から最初の町に向かう7歩分の移動途中に『初期レベルでは絶対に勝てない敵とエンカウント(戦闘に入ること)する事による死亡率4000%』という凶悪な数値を叩き出したのである。
開発者はこのゲームを『ムンリバ』なる略称で自作を紹介したが、その『通算10万回は死ぬ』という理不尽すぎる死亡率によって『ム・リ』の略称を手に入れた。
ムリゲー。
どうがんばってもクリアーは無理なゲームの代名詞としてゲーム史の片隅にひっそりと咲いたあだ花。
これは、そんな世界にとばされた俺とリュウセイのチートすぎる抜け道バグ技の物語である。
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