ヤツこそは、イカしたアイツ。 否、イカの姿をしたアイツ‥‥怪人イカ男?! 傭兵として、武芸を磨く事に捧げてきた青春時代の敗北と挫折。 流れ着いたカイザード帝都で、捨て犬の如く拾われたボトマーズギルド・ハニカム。 面倒臭がりでヤル気無し、いつも金欠裏目なチンピラに転生してしまった!? 語り手が次々と変わる新感覚ライトノベルです。 ※この小説はフィクションであり、登場する人物や団体などは、現実とは異なります。
まとわりつく血煙の中、赤黒い刃が閃く。
ゼェハァと荒い呼吸‥‥片っ端から斬って斬って斬りまくる。
意思に関係なく、身体が動いてる!?
<吾妹ハ、何処ダ‥‥?>
俺の口から、知らない声が発せられた。
ワギモって、古典表現で恋人を指す言葉だな。
逃げ出そうとした足を掴まれる。
血塗れな手の群れが迫りくる。
<全テヲ捨テ、頂点ヲ目指スモ、マタ一興>
再び、赤黒い刃が閃く。
亡者共の手を斬り払う不快感は、やがて快感に塗り潰されていく。
暗闇と血煙の戦場を駆け回り、斬って斬って斬りまくる‥‥。
≪ZuSha‥‥ZaShu‥‥≫
「「僕‥‥? 拙者‥‥? 俺‥‥?」」
他の誰かとシンクロするような感覚。
斬る度に、大切な何かが消えていき、塗り替えられていく。
斬って斬って斬ってきってきってキッテキッテ斬ってきってキッテキッテ斬って
キッテキッテキッテ斬って斬って斬ってきってきってキッテキッテ斬ってきって
キッテキッテ斬ってキッテキッテキッテ斬って斬って斬ってきってきってキッテ
キッテ斬ってきってキッテキッテ斬ってキッテキッテキッテ斬って斬って斬って
きってきってキッテキッテ斬ってきってキッテキッテ斬ってキッテキッテキッテ
<良イゾ、良イゾ‥‥、砕ケヌ身体。思ウ存分斬レル>
オマエは誰だッ!
俺の名は‥‥。
ヒロイン【みくり】は、物心付く前から卓球漬けの英才教育を受けて育ち、中学二年生でオリンピック【卓球U-15】銀メダリストになった。 自覚は無いが、小柄で超可愛い顔立ち、卓球で鍛えられた身体はスレンダーで美しく見える。 中学三年になると、胸が急成長を開始‥‥更に成長期は終わっておらず、身長は伸びないが胸だけ成長していった。 そして、それは彼女をドン底に突き落とした。 胸が邪魔で卓球の未来が潰えたのだ。 それでも卓球特待生の誘いは多校あったが「オリンピックで上位を狙えなくなった以上、先に進めない」と断ってしまった。 またアイドル転向のスカウトもあったが「目立つのは好きじゃない」と断って、公立高校に通う事に。 市立日樫高校へと進学し、みくりは男子卓球部の女子マネ兼コーチとなって全国制覇を目指している努力の人。 一方、主人公の【真和】は、両親が卓球部上がりで恋愛結婚した環境に育つ。 しかし、反抗期だった彼は、両親が中学の部活に卓球を勧めてきたのを撥ね退け、趣味だった囲碁将棋部に入部した。 元々、運動音痴だったのだ。 身体の柔軟性は皆無‥‥前屈しても手は届かないし、ブリッジをすると台形になる。 足は速くもなく遅くもないが、持久走はビリッケツ。 握力は女子にすら負ける最低記録保持者で、反射神経も鈍い。 体育以外の全ての教科は、一切、宿題・予習・復習をせずとも、授業だけで平均点以上が取れる【努力とは無縁の天才肌】。 高校進学が決まって、声変わりも反抗期も終わり、親孝行の精神が芽生え、卓球部への入部を決意したのは良かったのだが‥‥。 ※この小説はフィクションであり、登場する人物や団体などは、現実とは異なります。 ※オリンピック種目としての【卓球U-15】も現実には存在しません。
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