異世界、エリュフィシア。異物たる技術アルコーンによって、その戦乱の歴史は加速していく。 小国ウェルギス王国。次期国王アラステアは、自ら出陣する覚悟を決めていた。 戦場に渦巻くのは慟哭と憤怒、そして誇り。 それらを貫けるものだけが、この混沌を生き残れると信じて…。
超大国の侵略戦争は、小国ウェルギス王国にも拡大していた。
「アラステア様!ソルモール軍が最終防衛ラインを突破しました!」
慌ただしく報告したのは、ウェルギスの王室騎士団団長ヴァルナス・ニールだった。
「そうですか。もう来たのですか…」
報告受けたアラステアもまた、焦っていた。何故なら相手はエリュフィシア最大の超大国、ソルモール帝国。圧倒的な軍事力を背景に、エリュフィシア全土を支配せんとしていた。
アラステアの心には、恐怖心と憤りが混在していた。
「もしや出陣なされるおつもりか…!?」
ヴァルナスは別の意味で焦った顔をした。アラステアはいずれこの国を治める存在。戦死させるわけにはいかない。
「あなたの、この国を思う気持ちは分かります。しかし、あなたは…」
「ヴァルナス!私の身を案じてくれるのは、ありがたく思います。ですが」
アラステアは、ひざまずくヴァルナスに歩み寄り、彼の肩に手を置いた。
「ですがこの国が滅んでは、意味がありません!私のサーレーンを出して下さい!」
「…ならば、死は許されませぬぞ」
アラステアの後ろ姿は、窓から降り注ぐ光の中へと消えていった。
アラステアは、王室用の地下格納庫へと向かった。城の中は慌ただしい。それでも家臣や兵士たちは、アラステアに敬礼した。もちろんアラステアも気付いていたが、それにかまっている場合では無かった。
地下格納庫へ向かう螺旋階段を降っていた時、アラステアは大きな揺れにバランスを崩した。
「まさか……!」
ついに敵軍が、城の間近まで侵攻したのだと、直感した。
「急がないと……!」
再び階段を降った。やがて最後の段を踏み終えたとき、格納庫の扉が見えた。アラステアはそれを蹴り飛ばし、格納庫の中に入った。
そこには巨人型の兵器、アルコーンがずらっと遠くまで並んでいた。本来これらは予備の戦力であるが、これを見たアラステアは最前線に投入することを決めた。
「マノアス!お願いがあります。至急、搭乗騎士を集めてください!」
格納庫の管理責任者であるマノアスは、その言葉に、顔をゆがめた。予備戦力を使うということは、訓練生や民兵も、いよいよ駆り出されることを意味する。
「いやしかし、これらは予備の…」
「それにまだ、陛下よりのご命令が…」
「知っています!ですが、四の五の言っている時ではありません!とにかく急いで!」
アラステアはその命令を下すと、自身も専用のアルコーンへと急いだ。
アラステアは、自分専用の金とピンクのサーレーンへと到達した。アルコーンに乗る際、本来ならば鎧を着なければならない。だが時間的な猶予はない。アラステアはサーレーンの横にある階段をのぼり、乗りこむための足場に立つ。すると人間で言う肩甲骨の部分にある、扉が開いた。アラステアはそこからコックピットに入った。アラステアはまず、操縦席中央の透明の水晶に手をかざした。透明だった水晶は薄紫色に変わった。そして連鎖するように、コックピット内にあるすべての水晶が光り出した。
その輝きを見たアラステアは、両脇にある操縦用の水晶を手で掴む。その瞬間、サーレーンは地上へと転送された。
ヒロイン【みくり】は、物心付く前から卓球漬けの英才教育を受けて育ち、中学二年生でオリンピック【卓球U-15】銀メダリストになった。 自覚は無いが、小柄で超可愛い顔立ち、卓球で鍛えられた身体はスレンダーで美しく見える。 中学三年になると、胸が急成長を開始‥‥更に成長期は終わっておらず、身長は伸びないが胸だけ成長していった。 そして、それは彼女をドン底に突き落とした。 胸が邪魔で卓球の未来が潰えたのだ。 それでも卓球特待生の誘いは多校あったが「オリンピックで上位を狙えなくなった以上、先に進めない」と断ってしまった。 またアイドル転向のスカウトもあったが「目立つのは好きじゃない」と断って、公立高校に通う事に。 市立日樫高校へと進学し、みくりは男子卓球部の女子マネ兼コーチとなって全国制覇を目指している努力の人。 一方、主人公の【真和】は、両親が卓球部上がりで恋愛結婚した環境に育つ。 しかし、反抗期だった彼は、両親が中学の部活に卓球を勧めてきたのを撥ね退け、趣味だった囲碁将棋部に入部した。 元々、運動音痴だったのだ。 身体の柔軟性は皆無‥‥前屈しても手は届かないし、ブリッジをすると台形になる。 足は速くもなく遅くもないが、持久走はビリッケツ。 握力は女子にすら負ける最低記録保持者で、反射神経も鈍い。 体育以外の全ての教科は、一切、宿題・予習・復習をせずとも、授業だけで平均点以上が取れる【努力とは無縁の天才肌】。 高校進学が決まって、声変わりも反抗期も終わり、親孝行の精神が芽生え、卓球部への入部を決意したのは良かったのだが‥‥。 ※この小説はフィクションであり、登場する人物や団体などは、現実とは異なります。 ※オリンピック種目としての【卓球U-15】も現実には存在しません。
僕の幼馴染みである春待青は、ちょっとおかしい。美少女だけど、他人の名前は覚えないし空気は読めないし、あとなんか手から氷を出したりする。笑いとシリアス、あやかしてんこ盛りのドタバタラブコメディー!
ある夜、彼女は元彼にが麻酔をかけられ、ある謎の男に利用された。二人は淫乱で恍惚の一夜を過ごした。 復讐をするため、彼女はその男と結婚し、彼を利用した。 「私が生きている限り、彼の妻はこの私だ。あんたらは泥棒猫にすぎないわ」 彼が他の女性とのスキャンダルに巻き込まれたときでさえ、彼女の決心は揺らなかった。 結局、また彼に裏切られたと知ったとき、彼女は怒って立ち去った。ところが数年後、彼女がまた彼のもとに戻った。彼は驚いた。彼女から欲しいものを全て手に入れた彼が、何故まだ彼女を苦しめようとしているのか、彼女には理解できなかった。