僕の幼馴染みである春待青は、ちょっとおかしい。美少女だけど、他人の名前は覚えないし空気は読めないし、あとなんか手から氷を出したりする。笑いとシリアス、あやかしてんこ盛りのドタバタラブコメディー!
ふわりと、甘い香りがする。
軽く波打つ長い黒髪は、さらりと揺れる度に天使の輪を輝かせ、肌は透き通るほどに白い。
猫のような大きな黒い目は、角度によって藍色に輝き、まるで硝子玉で作った玩具の宝石のようだ。
「わたし、恋がしたいのです」
まるで鈴が鳴るような軽やかさで、彼女はそう言った。
絶世の美少女――彼女のことを、僕は幼い頃から知っていた。喋ったことも、遊んだこともあるし、なんなら彼女のちょっとした秘密だって知っている。いわば、幼馴染みという存在だ。
だからこそ、彼女がそんなことを言い出したとき、僕は正直、嫌な予感しかしなかった。
「ねぇ、ミナミ」
甘ったれた声で、彼女が僕の名前を呼ぶ。それを聞いた僕の中で、警報音が鳴り響く。
例えば、僕が大事にとっておいた好物の唐揚げの、それも最後の一個を、気軽にねだってきたときのような。大寒波が押し寄せてきた寒い冬、なけなしの防寒具であった手袋とマフラーを意味もなく奪っていったときのような。
そんな、しょうもなく致命的なワガママを言うときの声音だと、僕の経験が告げてくる。
ひんやりと冷たい彼女の手が、僕の手を握る。固まる僕に、彼女はにっこりと文句なしの笑みを見せた。まるで天使のようだが、彼女の正体なら僕はよく知っている。
彼女がまた一歩、距離を詰めてくる。濃くなる甘いミルクのような香りに、気持ちを一瞬持っていかれそうになる。
少女――春待 青(はるまち あお)は、つまりはこういう女なのだ。
悪戯っぽい、猫のような目が、僕を真っ正面から射る。不覚にもドキリとしてしまったことを、僕は早々に後悔した。
彼女が言う。鈴のように軽やかに。あるいは、硝子玉のように、軽率に。
「わたしに、恋をさせてください」
2042年、日本は資源不足と人口減少に悩まされていた。そして、追い打ちをかけるように粒子病の蔓延により人口のおおよそが亡くなってしまい、国としての機能を失う。 そんな中、粒子病の影響により若者を中心とした一部の人間が新たな力——id(イド)に目覚める。 だが、時を同じくしてそのidに適応した人間を狙う未知の怪物——バグレッサーが現れる。 これに対抗するため、人々はバグレッサー対策組織としてEDEN(エデン)を創設した。 時が経ち2046年秋、普通の女子高生である花巻菜乃(はなまき なの)とその友人、桜田八重(さくらだ やえ)は不幸にもバグレッサーに襲われてしまい、逃げ惑う中で二人はidの力に目覚める。 菜乃は行方不明となっている姉を探すため、バグレッサーと戦うフラワーナイトとなることを決意するのだった。
A区B区の次に新たに発展したC区の全面的技術提供案。スリー・C・バックアップには、裏の顔があった。 日本の将来は非人間的な政策が施されようとしていた。 その時。なんと、C区の陰謀に一人の男が立ち上がった。 ちょっぴりシリアスなガンアクション。たまに笑えるラブストーリー。 ご近所物語 ハイブラウシティの続編です。 前作のご近所物語 ハイブラウシティをお読みでなくともお楽しみ頂けるように書きましたが、前作をお読み頂いた方がよりお楽しみ頂けるようになっています。
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